プライベートエクイティ転職したら「IT部門」を味方につけるべき理由

プライベートエクイティ転職したら「IT部門」を味方につけるべき理由

プライベートエクイティIT部門が形成する絶大な「社内インテリジェンスコミュニティ」につき、実体験をもとに解説します。

IT部門を軽視するなかれ


「社用車の運転手さんとか毎朝掃除に来てくれるおばさんとか、そういう人にも礼儀正しく誠意をもって接するのが私のモットー」という、意外な話を聞いたことがある。なぜ意外だったかというと、それが筆者がプライベートエクイティ面接をしたとき、創業パートナーから聞いた話だったからである。


プライベートエクイティ転職を目指すだけで、あなたは能力も野心も高い、鼻息荒いエリートのはずだ。無事転職して花形の投資チームに入れば、同じチームのメンバーやパートナーたちと仲良くし、残りの時間は案件ソーシングなどのために社外で人間関係構築に勤しむだろう。


プライベートエクイティファームには他にもIT部門や秘書、その他アドミスタッフがいるが、社内ですれ違えば挨拶こそすれ、下手をすれば年に2~3回も会話らしい会話をしない、という場合がほとんどになるのが実態だ。


しかし筆者の実体験上、決してそうあってはならない。とりわけプライベートエクイティファームのIT部門は、とてつもない「インテリジェンスコミュニティ」を形成しているからである。


羽振りの良いD氏の裏と表


筆者がプライベートエクイティの投資チームに従事していた頃、同僚のだれしもが、パートナーなのにアソシエイトとも贅沢な夕食やパーティーをよく振舞ってくれるD氏と懇意にしたがった。D氏はD氏で、普段はアソシエイトやディレクターに面倒くさい作業を任せているからそれを「ねぎらう」つもりでやっていたとおもう。そして、D氏は「創業パートナー」でなかった分、社内で人望を築くという模範的努力を払っていたのかもしれない。


D氏は、プライベートエクイティ業界ではとても重要な「投資委員会」で少なからずとんちんかんなことを言うので、それをあざ笑うグループもあったが、やはりそこはプライベートエクイティのパートナーである。ディレクターやアソシエイトからは基本尊敬され、憧れられていた。


一方で、私自身は、部門や役職の分け隔てなく、社内の誰とでも仲良くお付き合いをさせてもらった。そもそも自分がジュニアのアソシエイトだったこともあるが、私が元来人懐っこく、色々な人と仲良くなって話を聞いたり聞いてもらってリアクションを見るのが素直に楽しかったことも手伝った。


そしてその交友サークルには、IT部門のK氏とF氏が含まれていた。


驚愕の焼き肉談義


とある夜、私はこの両氏と恵比寿で焼き肉を食べていたとき、急に会社の話になり、聞いた内容に驚愕した。いつも社内で立ち話をしてケラケラわらっている秘書2人は実はとても仲が悪く、だからこそ互いに最も接点の少ないパートナーをそれぞれ担当しているという。デスクが一番離れているのも、秘書同士の不仲が原因というのだ。


「へ~そうだったんですね。」私は、社内ゴシップに参戦すると自分が「下品な人間」に陥ってしまうという自戒とともに、さらっと流してみた。すると、次にD氏の話がでる。


例のパートナーである。


彼らが言うに、目下には偉そうでも目上には媚びるD氏は、いつもパートナー会議で創業パートナーの重鎮らに叱られ、それでも優越を感じたくて部下と夜遊びにいって「上司らしく」振舞っているというのだ。また、D氏は妻子がいるのに女好きは治らず、合コンで知り合った若いお姉さんと高級和食店に行くのだが、下仁田ネギのことをわざと「下仁田ひとつ」、などとドヤ顔で奇妙な省略注文をし、相手の女性をドン引きさせたという。


「ちなみに」、IT部門のK氏とF氏は続ける。「DさんはTinderでも容赦なく右スワイプを繰り返すけど、「マッチ」するのはたいていがオカマが関の山なんです。」


情報を集め続けるプライベートエクイティIT部門


焦げかけた牛タン数枚をあわててほおばりながら、私はなぜこの両氏がそこまで社内事情に詳しいのかを問いただした。


彼らがいうに、IT部門はPCの不具合などがあるとすぐ対応できるよう、比較的社内フロアの中心に座ることが多い。また、普段は「地味で寡黙なコンピューターギーク(Geek)」を装っているので、社員たちは両氏のデスクのすぐそばでも、何ら気にせずに赤裸々な噂話をしあうそうだ。


おまけに、席替えやメール設定、データ復旧などを計画したり実施するのもIT部門である。そこでまた個々人とのいろいろなやりとりがあり、隠された事実に気づくことが多いという。ニクソン大統領でさえ恐れたアメリカ政府FBIさながらである。


そして、D氏の情報がここまで筒抜けなら、IT部門のK氏とF氏は筆者のことについても熟知し、相手と状況によってはそれを暴露する用意が整っている、ということになる。


なにもIT部門に媚を売り、「社内政治に勤しめ」といっているのではない。「政治屋」は、実績の伴わない「評論家」同様、すぐに見抜かれ、プライベートエクイティで一番なってはいけない存在である。だがしかし、創業パートナーが私に言ってくれた「社用車運転手さんにも親切であれ」のエピソード同様、IT部門その他バックオフィスの皆さんに対しても、あなたは妙な威張り方をせず、あくまで同格のチームメンバーとして敬意をもって丁重に接しなければならない。彼らのインテリジェンス力を軽視して、得をする人など一人もいないのである。

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