プライベートエクイティファンドでの実務:事業承継案件を成功させるための三大条件とは?
日本国内PEは、国内社会の少子高齢化・後継者不足問題を背景に、事業承継案件のソーシングに勤しむ。
そしてこのソーシング活動は、PE転職志望者をはじめ、業界外部の人間からみたとき、「簡単でしょそれ。だって、後継者いないんだから。」と、あたかも簡単に捉えるふしが、多分にある。
この「事業承継案件簡単説」は大間違いである。本コラムでは、事業承継案件ソーシングの成否を決する大条件を挙げ、生身の実話をとりいれつつそれぞれ解説する。
条件その:オーナー株主の思想
筆者の知り合いに、よくPEからアプローチされる某外食企業の創業家社長A氏がいる。彼は、PEがいかなる説得を試みようが、軒並みバイアウトの協議入りを断っている。
A氏の理由は単純明快だ。「外部の知見やサポートは大歓迎。フィーをはらうから、コンサルではいってほしい。」である。
そして、彼はたたみかけるようにこう付け加える:「...