35歳からのコンサル転職~年齢的にコンサル転職をお勧めしない3大理由とは??
なぜ30代半ばでコンサル転職を志望するのか?
様々な企業で会社の不条理を目の当たりにし、それでも何ら改革されない現状に忸怩たる思いを抱いてきた貴方。
大局的な市場の変化に対応できず、成長分野をみすみす競合に奪われていくが社内的には何も動かないサラリーマン体質の経営陣に、嫌気と怒りを覚えているのではないか。
かといって今までライバル視してきた競合会社に移るのも気がひける。次は社内だけでなく市場で通用するマーケットバリューが高まる仕事をしたい。
そこで第三者の立場で多様な企業の経営改善に当たれるコンサルティングファームを目指す人は多い。
では、自社のみならず様々な企業、産業の問題点を解決して日本の経営、ひいては経済に貢献したいという問題意識溢れる30代中盤~後半にとって、外資系戦略コンサルファームへの転職はどれくらい現実的なことだろうか?
当セミナーでは東大を出て官公庁で勤務し、外資系総合電機メーカーと金融機関で勤務し、30後半でセミナーに参加された方がいた。ついでに言うと彼女は米国有力MBAホルダーでもある。能力的にも経験的にも申し分なし。
しかし現実的に言って、コンサル未経験者で30後半であれば、そんな彼女にしてもコンサルファームへの転職は極めて難しい。
輝かしいキャリアがあっても、30台中盤での未経験者のコンサル転職は難しい
第一の理由として、これは能力の問題と言うよりひとえに、20代後半のシニアコンサルタントにとって、30後半の人はどうも部下として使いあぐねる”というのがあるからだ。
年齢的にはマネジャーかシニアマネジャーの年齢に達している(出世が早い人は30代前半でジュニアパートナー、30代後半から40前後では立派にパートナーに昇進)。
ファームとしては一人でコンサルのプロジェクトマネジメントをできるのみならず、お客さんを開拓してファームの売り上げに貢献することが求められる年齢なのだ。
パートナーと同年代くらいのあなたが「コンサル転職して、コンサルを一から勉強します」と言われても、いくら優秀でも使いづらいものなのである。
35歳未経験者のコンサル転職は、リスクを取った割に給料はあがらない?
第二に、激務な割に年収はたいして上がらず、下手したら下がるかもしれない。
未経験者がいきなりマネジャーで入ることは考えられず、下から二番目のアソシエイトで入るとしよう。
日本オフィスの給料はロンドンやスイス、ニューヨーク、サンフランシスコに比べて安いので、1000万から1200万のスタート、下手したらさらに低いかもしれない。これは多くの大企業の30歳での給与とたいして変わらない水準であり、リスクを取ってコンサルに転職する割に、労働時間は長くなるが、サラリーはたいして増えない可能性がある。
コンサルという仕事が本当に好きで仕方ないというわけでもない限り、転職リスクに見合ったプレミアムを得るのが難しいタイミングでの転職だといえよう。
30代後半コンサル職組の、学習能力が衰えて、使えないコンサルたち
第三に、学習力・持久力の低下だ。端的に言えば、「この中途転職者は年寄で使えない」と揶揄されるリスクがあることも心得よう。
これから学習で補うといっても、若手ライバルの方が各プロジェクトでの学習スピードが速い。コンサルタントとしてのライバルは、貴方の年齢に達する頃にはすでに10年選手。これを今さらコンサルを始め、学習カーブが落ちる30代後半にコンサルを始めた貴方が勝てる可能性は低い。
もちろん、一部には40くらいでMBBの一角に三顧の礼で迎えられる人もいる。
しかしそれはコンサルプロジェクトの多い業界のリーダー的な存在だったり、輝かしい経歴と実績から、業界向けのアドバイザー的に迎えられる人である。
そういう人は”マッキンゼーアドバイザー”などのキャリアをレジュメに加えて、ある日某政党に担がれて、知事選に出ていたりする。
コンサル転職志望者の壮大な勘違い志望動機~コンサル転職以外の選択肢が合理的なことも多い
年齢的にコンサル転職をあきらめたからと言って、がっかりする必要はない。そもそも、コンサルが転職したがる業界に、直接転職して、ご自身がコンサル転職で経験したかったことをより高度に経験する機会もいくらでもあるからだ。
往々にして、コンサル転職を希望して当セミナーの門をたたく方々が、よくよく話を聞くと、それこそ留学した方が良かったり、PEファンド転職のほうが向いていたり、PE投資先のポートフォリオ企業でCMOやったほうが良かったりする。
さらに、どう見てもコンサルへの大いな誤解や過度な期待をもって転職希望する方も多く、”大企業の戦略を変え、社長と全社戦略を動かす!”とか思ってたら、2年間のPMI(Post Merger Integration)プロジェクトで現地に送り込まれて、”こんなはずじゃなかった、、、”と再度転職活動に勤しむ羽目になる人もいるのだ。
本人がコンサル転職したいと思われている本質的な志望動機が、必ずしもコンサル転職に結びつかないことも多いのだ。
別に30半ばでマッキンゼーに入った人(ただしトップMBAで前職も経営関連だったが)もいるので絶対無理というわけではない。しかし上記不利なポイント及び他のより良い選択しを理解したうえで、コンサルに求めている経験は他でもいくらでも追及できるという事実を、ご参考いただければ幸いだ。