転職先コンサルファーム選び方4大ポイントとは?ランキングと仕事内容比較と違い
官公庁(通産省)、某米国MBA Aさんより質問
ビジネススクールにおいて主に戦略系の勉強をしています。
コンサルタントの仕事は、ビジネススクールでの経験を生かす最適な場所であると考えています。
一方で3年程度でやめる方もいらっしゃるのが現実であり、他のコンサルタントティングファームに移る方も多数いらっしゃいます。
自分としては、転職するのであれば、長期間同じファームにいたいと思い、ファーム選びに慎重になっています。ファームの特色ホームページで調べたり、大学にリクルーティングに来ていたコンサルタントの方と実際に会いましたが、決め手がありません。
オファーが出た後に、その中からファームを選ぶというやり方もあると思いますが、選考に入る前にファームの実情をできるだけ把握したいと考えています。
そこで、そのための「情報収集方法」、「ファーム選びの決め手」に関してアドバイスをお願いします。
拡大志向・グローバル志向・デジタル対応・フラットカルチャー・ワークライフバランス・プライシング面で鮮明な差
ファーム選びの決め手は、ご自身が重視する職場選択の軸と、ファームが重視して実践するカルチャー及び路線の整合性を見る必要があります。情報収集には、各社で働いたことのある人の話を聞くしかないですが、特に複数のファームを渡り歩いた人による比較は有用度が高くなります。
なお実際に働いた人でも、フィットが高くて活躍して満足度が高い人と、活躍できずに不満たらたらでアウトになった人ではフィードバックも大きく変わるので、幅広い情報を集めましょう。
では以下に、まずは主要ファーム間の違いを書きます。MBBのトップ3社と、ATK, Strategy &(PWCに買われてとんでもない名前になりました)ローランドベルガー、ADLといったファームが続き、次にデロイト、KPMG, トーマツといった会計系ファーム母体の戦略ファームがあります。
トップ3は従来差がよくわからないものでしたが、規模的には日本でいえばBCGが圧倒的に大きくなり、マッキンゼーも規模拡大に成功、ベインは100人程度で後塵を拝しています。
BCGは日本企業に入り込み、常駐案件で一気に拡大し、デジタルプラクティスでも早く動きました。成功の定義にもよりますが、商業的には最も成長に成功したファームがBCGであり、組織としての規模拡大や日系企業での常駐案件をご希望でしたら、BCGが向いています。
マッキンゼーは国内企業基盤がBCGほどではないとかいう人もいますが、順調に組織も顧客基盤も拡大しています。なにより卒業生の各界での活躍ぶりから、やはりマッキンゼーのカルチャーの強みが際立ちます。強みを見極め、強みを伸ばし、また社内の優秀なパートナーとともに独立して事業を始める人が数多く表れています。なおBCGに比べ常駐案件ではなく戦略よりなことは、大きな違いです。ちなみに顧客へのコミットメント、人材育成への注力では社員からの満足度が非常に高いファームでもあります。
ベインアンドカンパニーは、上記2社にくらべ日本オフィスもグローバルで、外国人コンサルタントも多いですし、また海外オフィスにトランスファーする人も比較的多いです。給料も若干高く、休みもとりやすく、労働時間も比較的上記2社に比べると短く、人にやさしい、人を大切にするカルチャーで知られています。
コンサルを離れてエクスターンシップと言って、クライアント企業やNGOなどで一年経験を積んで帰ってくることもできるなど、柔軟に幅広い経験をさせてくれます。しかし組織としての成長志向が上記2社に比べ落ちており、日本市場でのプレゼンスは相対的に低下しています(モニターグループのように、買収される説が時折市場に駆け巡ります)が、プライベートエクイティ分野ではトップティアの実績を誇ります。
それでもベインは総じて仲が良く、アットホーム(比較的小人数、社内イベントも多く仲がいい、サポーティブなカルチャーなので、人がいい)xグローバルx風通しのよさ(頻繁なフィードバック、パートナーが下から意見を継続的に集約、社内政治が極めて少ない)で知られています。
他トップ3社以外ですが、ADLは製造業や技術により軸足を置いており、理系の研究者肌の人に向いているカルチャーです。デロイト、KPMG, PWCは似たようなグループで、トップMBBに比べ三分の一などの価格帯で、比較的小規模な案件や、RPAインプリメンテーション案件を数多くこなします。
アクセンチュアは実はグローバルで最も成功しておりマッキンゼーと桁が違うほどの巨大ファームに成長、デジタリゼーションの領域でトップファームになりました。
コンサルファーム選びのポイントについて
さて、どのコンサルファームを選ぶか、その選択のポイントですが、仮にいくつものファームからオファーをもらうような贅沢な悩みをすることになれば、ご自身にとって重要なキャリア選択の軸と、上記ファームごとの特色の軸で整合性の高いところを選ぶことになります。
軸は人によって違うので一般化しても仕方ないのですが、ブランドや人脈の質ではMBBトップ3、デジタリゼーションではBCGデジタルや、アクセンチュア、マッキンゼーはこの点出遅れていましたが、AIセンター設立などで巻き返しを図っています(といっても、自分がその分野のプロジェクトに入れなければあまり関係はないのですが)。
なおファーム選びで重視する軸ですが、人によっては、一緒に働く人との関係が一番重要という人(フラットでサポーティブなカルチャーを選ぶべき)もいれば、幅広い業界を経験することが重要な人もいれば(大規模ファームを選ぶべき)、ワークライフバランスが重要な人もいれば(比較的休みやすく、プライベートを重視するファームを選ぶべき)、卒業後のコミニュティが重要な人もいます(アルムナイネットワークの強いファームを選ぶべき)。
ただ総じて、活躍できるかも、昇進できるかも、楽しいかも結局は自分と合う人がいるかどうかが重要ですので、内定をもらったなら極力多くの人にあって、「週末一緒に過ごしたいか」「一緒に長期出張しても苦痛じゃないか」といった、フィットを大切にすることが重要になります。
なにせどこのファームでも結局は直属の上司からの覚えめでたさ、パートナーが自分を好きで昇進ミーティングで押してくれたり、プロジェクトに積極的に入れてくれるか、自分の成長にコミットしてくれるかといった、人間関係の側面がキャリアでの成功に大きく影響を与えるのですから。
(したがって、最初のいくつかのプロジェクトは自分が活躍できそうで、パートナーと相性が合いそうなものを選んで評価を高めないと、早めに見切られてキャリアのデフレスパイラルに陥るので、最初のパートナーとプロジェクト選びは十分注意しましょう。)