講師Q&A 「企業価値とは何か?」

講師Q&A 「企業価値とは何か?」

会社は株主のものであるという考えは法的に正しく、一般論としても主流になりつつある。実は会社は誰のものか、という漠然とした質問が面接で聞かれることもある。その際には、一般論に加え、自分が普段感じている疑問等を踏まえて独自の定義を生み出すと良い。

東京大学農学部 大学院 男性より質問

昨今、日本でもM&Aが数多く行われるようになりましたが、その中には売り手側株主や買い手側株主だけの利点になる案件、すなわち従業員などにとってはマイナスなM&Aも多々存在するかと思います。
また、会社が株主のものであるという観点では短期的な利益の追求が経営陣の課題となり、長期的な成長が実現されないこともあるかと思います。

これらの点を考慮すると、一概に会社は株主のものとは言えないと思いますが、しかし、現在の流れとしては会社は株主のものとする考えが主流になりつつあるのではないかと思います。
この流れはさらに加速するのでしょうか。

講師による回答

会社とは、誰のものか?

この手の質問も面接でたまに聞かれたりしますので、私見を述べておきましょう。

まず法的には会社は株主のものです。

ただし会社には法的所有主は誰かという側面と、その働いている社員の効用を高めるという側面と、サービスを通じて顧客に貢献する側面と、利益を度外視して社会貢献するという側面のバランスが求められています。
また短期の利益と長期の投資のバランスも求められるでしょう。

このような多様なステークホルダーのニーズを踏まえ、、、などとあと一ページ続けたら、貴方が眠り続ける大学の授業か、誰でも言える一般的なことしか言わないワイドショーの評論家、3万円もとった割りに、話すことはそれだけ(ネットで調べたら一ページ目に出てくるような内容)か!、という自称プロによるイカサマコンサルタントとなんら変わらなくなります。

皆さんの面接対策につながるインプリケーションで言いますと、会社は誰のものか、という最近バンカーが出してしまいがちな質問が出たとき、“どう賢こぶるか”、というテクニックを伝えましょう。、、といってもほかのケース面接、ないしゴールドマンの“成功とは何か”マッキンゼーの“幸せとは何か”と基本アプローチは同じです。

会社とは誰のものか、という恐ろしくばっくりした内容をどのような要素に分解するか。
ここで議論の展開の仕方、切り口、分ける単位が腕の見せ所です。

ここで上に挙げたような一般的な議論をぶつぶつ、、、というのでは、つまらない質問を出した面接官も、つまらない答えをする貴方も、30分出会ったこの時間を後悔して家路の帰途につくに違いありません。(、、、しかも時間をかけてぶつぶつ言ったわりに、目新しい教訓や示唆は皆無に終わるのです。)

金融業界での「企業価値」と異なる定義を考えよう

私なら日ごろ考えている企業価値について持論をぶつでしょう。

投資銀行で言うところの企業価値とは時価総額+ネット負債(有利子負債から現金性資産を差し引いたもの)を指しますが、これでは「この定義の企業価値」こそ、「企業の価値そのもの」である、という「株主価値=企業の価値」と普遍化する誤解が生じます。

これはあくまで出資者にとっての価値という意味で、価値を計る一つの尺度に過ぎません。

何兆もの売り上げの会社が、何百億の売り上げの会社よりその産業の見通しのマージンの低さから、“企業価値”が低いこともままあるのです。

しかしその膨大な売り上げは無数の下請けを支え、何万もの社員を支え、損をしてでも社会インフラに投資する、という“ビジネスパートナーにとっての勝ち”“社員にとっての価値”“社会的な価値”を有している企業も数多いものです。

ところが、ネット負債と時価総額の総和を“企業価値”と信じ込ませるファイナンス授業の表記方法が、企業のバリューを計る多様な尺度から社会の目をそらさせます。

(このケースのように言葉の定義も知らずに、ないし意識せずに言葉を使ってると、イスラム=危険みたいな不幸な思い込みにつながることでしょう。この“企業価値”の定義はもはやレッテルの世界に突入している気すらします。これこそが価値、と決め付けたら、それを高める方策だけが正当化されることになりますから。。)

企業の評価には、多様な尺度がある

だからこそ強いバランスシートでキャッシュじゃぶじゃぶの会社が、低マージンでもおいしいソースを作り続けたら社員と主婦とトンカツ屋はハッピーになるのに、怖いおじさんがアメリカからやってきて、訴訟をちらつかせてキャッシュを配当で吐き出させて、株価が上がったらショートを浴びせて大もうけして帰っていく - そして残ったのは「投資余力と財務体力の落ちた、ニュースに踊らされた個人投資家が高掴みした倒産寸前のローマージン企業」ということになるのです。

この教訓は何か。会社は多様なステークホルダーに対する価値提供が求められていますし、それなしには結局長期的な、ファイナンスの定義上の「企業価値」も結局は損なわれるリスクを有することになります。

ただし現状は多様な価値提供の使命があるにも関わらず、権利/裁量権が株主に集中し過ぎています。

ここで発動できる権利のバランスを司法が担うことになりますが、(これが環境規制、労働基準法、不正競争防止法など諸々の経営を縛る法律)、一連の事件はまだまだ会社は誰のものか、という社会の合意に対し、株主の権利に偏った法律がいまだ未整備で放置されていることを物語っています。

この議論の流れからして、私のあなたの質問に対する答えを類推してください。

全て答えたら貴方がこれを読み返して考える努力を怠ることになりますので、この辺で回答はやめておきます。

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