プライベートエクイティ業界勢力図~PEファンド転職前にスグ読みたい4ポイント!

プライベートエクイティ業界勢力図~PEファンド転職前にスグ読みたい4ポイント!

プライベートエクイティ業界にはどんなファンドがあり、どう選べばいいのでしょうか?独立系・キャプティブ系、外資系ファンド、リージョナルファンド等多様なプレーヤーが参画していますが、転職先を選ぶときは、チーム・投資戦略・LP属性・そしてパートナーとのフィットの見極めが重要です。以下では日本で投資活動を行う有力プライベートエクイティファンド運用企業一覧と、PE業界転職先の選び方4ポイントを紹介いたします。(全て現役のPEトップファーム勤務者が執筆!)

プライベートエクイティ業界勢力図~PEファンド転職前にスグ読みたい4ポイント!

日本のプライベートエクイティ業界は1990年代終盤に、ユニゾンキャピタル及びアドバンテッジパートナーズ、MKSを草分けに発足しました。


その後、インテグラルポラリスJIPなど後発組も成功裏に成長し、今では伝統的な御三家と肩を並べ、時には凌駕する規模のファンドを運用するまでになりました。

金融機関傘下では日本ミライキャピタルティーキャピタル(旧称:東京マリーンキャピタル)も、長い歴史と実績を誇っています。

また商社系では三菱系のアントキャピタルが、総合商社系の中では最も有力なファンドの一つとして成長しました。

日本は、スモールキャップファンドの投資機会が多く、パフォーマンスも高い

日本では金額にして10億から20億の小型案件のパフォーマンスが比較的よく、スモールキャップファンドの雄として海外投資家からも名高いのがJ-Starです。

スモールキャップ領域でのアドバンテッジパートナーズの高いリターンも、プライベートエクイティ投資家コミニュティで広く知られています。

また一部の方は御存じですが、旧ヴァリアントのパートナーが再出発したユコンキャピタルも、有力スモールキャップファンドとして知られています。

ディールアングルの中でも、特に、中小企業のオーナー企業による事業承継案件などは、エクスクルーシブに低めの低めのバリュエーションで投資でき、しかも企業価値を高めるために引けるレバーが沢山あります(社内規定が無かったり、経営会議が無かったり、不正が多かったり、無駄な経費や投資がたくさんあるため)。

これにより、複数のファンドが高いリターンを安定的に出してきました。

外資系プライベートエクイティファンドは総じて苦戦するが、カーライルとベインキャピタルは例外的に大成功

PE業界はどこの国でもローカルビジネスですので、一般的に外資系は一部を除いて苦戦します。

外資系ではアドヴェントなど外資系有力ファンドの進出が続きましたが、結果的に日本撤退の憂き目にあったファンドも存在しました。

そんな中、ディールを順調にこなし、高いリターンを挙げた海外ファンドとしては、CLSAキャピタルパートナーズも挙げられるでしょう。

比較的少ない数の企業に集中投資するスタイルですが、リターンの高さは海外投資家からも高い評価を受けました。

例外的に長期間成功してきたのが、カーライルジャパンとベインキャピタルでした。カーライルやKKRの大手海外ファンドが日本にオフィスを構え、カーライルなどは日本特化型のファンドも設立しています。

2020年初頭に設立したカーライルのファンドは、ジャパン特化型としては最大級の2000億水準となりました。

これまで日本ファンドで2000億になると、投資機会が不十分で競合とのオークションで高めのバリュエーションで投資してしまい、最後に破裂してファンドが大損、というサイクルを複数のPEファンドが経験してきました。

それだけに今回の2000億超えのファンドがどこまで実績を残せるか、多くの注目を集めています。

リージョナルPEファンド/グローバルPEファンドの、ラージキャップPE投資

ここで”投資先の規模や地域”という意味で注意しておきたいのは、グローバル大企業を相手にするトップティアの戦略コンサルや投資銀行から転職してくると、前職の顧客企業に比べると投資対象企業の規模は大抵は格段に小さくなり、またドメスティックになるということです。

これは投資サイズが20億のスモールキャップや100億~200億のミッドキャップでは、企業価値は1000億以下であることが大半だからです。

そんななか、グローバルキャリア志向が強い人は、リージョナルファンドやグローバルファンド(もちろん主な担当は日本になりますが)を考えるのが良いでしょう。

いまやアジア最大級のPEファームに成長したMBKパートナーズや、やや遅れて日本に参入したベアリングアジアといったリージョナルファンドも、日本で著名な案件を複数手掛けてきました。MBKのUSJ投資の大成功は、今でも多くの人が鮮明に記憶しています。

海外大型ファンドとしては、ペルミラも日本で目立つ案件をいくつもこなしています。

ペルミラのスシロー上場などはご存知の方も多いことでしょう。ユニゾンが高いリターンを挙げてペルミラに売ったのち、さらに数年で十分なリターンを挙げて上場することに成功しました。

KKRも、進出当初は案件がなくて苦労しましたが、その後高値掴みしたと揶揄されたインテリジェンスをはじめ、結局は大成功案件をいくつか積み上げました。

なお近年、採用活動に熱心な大型ファンドとしてCVCアジアがあります。ファンドサイズ的には日本のミッドキャップと同じ位で、かつ資金は海外からでも投資先は日本が多いのですが、ロングリーチも日本PE業界の古株で、某国の金融機関への投資で痛い目にあったものの、日本での投資では複数のディールが高いリターンを上げました。独立系の有力ファンドから人材を引き抜くことにも成功しています。

プライベートエクイティファームの実態を理解するための選び方4大ポイント

国内独立系や大企業傘下のキャプティブ系、そして外資系などプレーヤーの数が随分と増えた日本のプライベートエクイティ業界ですが、その中から自分に合ったPEファームの選び方は、実はLP投資家によるファンド投資のフレームワークと基本的には共通しています。

その中から、プライベートエクイティ業界転職時に考えたい、「PEファームの選び方4大ポイント」を以下に解説します。

①プライベートエクイティファンド選びは、グローバルブランド名より、ローカルチームの質を徹底的に比較すべし

自分が転職したいPEファームを選ぶとき、まず第一に判断しなければならないのは、ローカルチームの質です。

たとえばベインキャピタルも投資実績と投資チームの経験・人数で業界リーダーの一角として大きな存在感を有しています。

カーライルとベインに共通する外資系ファンドの日本での成功組は、厳選されたローカルプロフェッショナルによる、強いチームの体制整備に成功しました。

たとえグローバルブランドが強くても、ローカルチームが”他ファームでパートナーになれなかった人々の寄せ集め”では、結局のところ投資できずに、チームとファンドが瓦解するケースも複数あるのです。

またグローバルブランドファームから、優秀な投資プロフェッショナルがチームを引き連れて独立し、新ファンドを組成することも多々あります。

この時、当初は社名にブランドがありませんが、ものの数年で古巣のファンドサイズを上回ることもしばしば。ブランド名でなく、実質的なチームの質が重要なのです。

このような強力なチームを集められるかどうかは、ひとえに創業パートナーの力にかかっています。(代表パートナーに人徳と人脈が無ければ、まずもって優れたチームと豊富な資金を集めることができないのです。)

複数のPEファームから一社を選ぶ際は、そのパートナー及び投資チームの質の違いを見極めて決断しましょう。(たいてい、各社のHPのチーム紹介か、Linkedinを調べたら、誰にでも調べられるものです。

ちなみに有力パートナーが退社して独立すると、そのドル箱パートナーが競合に早変わりするので、この潮目の変化を見逃してはいけません。)

②投資戦略や地域はPEファンドによって大きく違う~アセットクラス・投資アングル・バリューアップパターン及び投資地域

PEファームへの転職時に、第二に見極めたいのは、投資戦略の実態です。PEというと、アセットクラスという意味ではステージ別にベンチャーキャピタル、グロースキャピタル、バイアウト、ディストレスドの4分類があります。

そして投資アングルという意味では、PEファーム事に得意な案件タイプ(事業承継・カーブアウト・スペシャルシチュエーションetc)が異なります(全部できるところもありますが)。

またバリューアップの特徴も、”ダメダメなオーナー企業を、ガバナンス強化で普通の企業にする”や、”潜在力の強い日本のサービス企業のアジア展開を支援”や、”バランスシートが痛んでいる企業のBSをリストラして本業に特化させる”や、”コングロマリットから一部門を切り出し、単体で成長できる企業に整える”等々、バリューアップ戦略も多様です。

なお、各PEファンドの投資戦略を比較して考えるのにお勧めなのは、過去の投資先と、それらがどのような変革を遂げたのかを調べることです。

特に過去に何らかのセクターやテーマで成功すれば、その後もそのファンドのディールソーシングで、似たような案件が持ち込まれるか、似たような売り手に”実績”として提案しやすくなるので、似た領域の投資が将来もなされる蓋然性が高いためです。

各社のHPに案件紹介があったり、有力案件はビジネス誌にその変革ストーリーが(しばしばファンド側の受け売り、ないし反対派からの不正確なリークも多いとはいえ)特集されていたりするので、面接前に事前に把握しておくようにしましょう。

③LP投資家層の違い:プライベートエクイティの顧客は誰か忘れない事

プライベートエクイティ転職先を選ぶ上で考えたい第三の重要ポイントが、LP投資家の属性です。

プライベートエクイティというビジネスを考える時、どうしてもアソシエイト、ディレクターくらいまでは自分が担当している投資案件のことばかり考えてしまいがちです。

しかし忘れてはならないのは、プライベートエクイティファンドに高額のフィーを払っているのは、LP投資家ということです。

プライベートエクイティのビジネスの本質は、LP投資家から資金を引っ張ってきて、それで会社のコントロール権を買収し、それを売却してリターンをLP投資家に還元することです。

しかしここで考えなければならないのが、資金属性に応じて”リターン”の中身が違うということです。

海外のLP機関投資家であれば、”期待リターン”とは3倍で売れる会社に仕立て上げて売りぬくことです。これが日本の地銀であれば、投資のリターンよりLBOローンビジネスを得ることです。

政策系の銀行であれば、時の政府の政策に沿った中身(例えば地方再生など)に関連した活動をすることが、広義の”リターン”になります。

これが総合商社の内部でバランスシート投資しているチームだと、ピュアなフィナンシャルリターンというより、”その投資自体で稼がなくても、その投資先を使って本社の違う部門が儲かればいい”という、戦略的判断が為されることも多いです。

この視点で見てみると、ファンドによって自社が得意とする資金属性が違うこともお分かりになることでしょう。

結局のところ、どのようなニーズの投資家であれば自分が得意とする投資戦略で満足させることができるのかを理解することが、「自分のファンドの”強み”を理解する」ということなのです。また、「どのような属性の資金」のために働きたいのかも、一考の価値があるでしょう。

④プライベートエクイティへの転職で最も大切なのは、ファームのカルチャー及びパートナーの価値観と、自分のフィット

このように日本のプライベートエクイティファームも、投資地域やセクター、ファンドサイズ、チームサイズ、バリューアップへのアプローチ等で、多様に分化してきています。

しかしながらPE転職時のファーム選びで重要なのは1にも2にも、御自身の投資哲学(どのような投資をしたいのか、どのようなバリューを世の中に齎したいのか)および価値観が、どのファームのパートナーにフィットするかの見極めです。

と申しますのも、PEファームは運用資金は大きくても、運用チームの人数は少ないので、創業パートナーの好みが投資対象や投資プロフェッショナル、バリューアップや仕事の進め方に色濃く反映されるためです。

実際にパートナーが動けば、その人にくっついて複数の社員が移動します。

パートナーの一人が社員を引き連れて独立というのは、世界中のPE業界でよくあることなのです。

ここで申し上げたいのは、PE業界での成功は、貴方がマッキンゼーやゴールドマンでスター選手で、HBSをディスティンクションで卒業した、ということで保障されることではないということです。

PEファーム各社はチームのサイズが小さく、また共同パートナー制をとっていても、最終的には創業パートナーの一存で決まることが多いものです。

結局は「自分とフィットのあるパートナーのファンドを選ぶこと」が、御自身のPEキャリアにとって非常に重要なのです。

プライベートエクイティファームへの転職を考えたらスグ読みたい、PE転職コラム一覧

以下のコラムは、プライベートエクイティ業界への転職前に知っておきたいPE業界の実態と面接対策へのインプリケーションを、全てPE業界で長らく勤務するプロフェッショナルが執筆したものです。

PE業界への転職やキャリアアップをお考えになる際の、一助になれれば幸いです。

参考:プライベートエクイティ転職志望者に勧めたい厳選コラム20選

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