総務省・外務省・経産省からの転職志望者が急増~しかしながら官僚からコンサル・金融への転職組が、全く活躍できない理由の3大パターンとは!?
中央官庁の官僚の人で、当セミナーに転職相談を寄せる人は多い。昨今話題の「働き方改革」だが、経産省の官僚自体が「うちが働き方改革まったく出来てないですからね」と嘆息する。
その友人がなんと、官公庁の副業解禁に筋道をつけたのだが、これは企業の就労規則ガイドラインから副業規定を取り外す上で、国自体がそれをしなければ、となったのであろう。
当セミナーに参加する人たちの所属省庁の多くは財務省、国土交通省、経済産業省の方々であるが、中には外務省から外資コンサルに移った人も複数存在する。
一昔前は次官への道が閉ざされた人が消極的に転職した。しかし今は官僚でのキャリアより魅力的な選択肢として積極的に相談されるケースが多い。
財務省不祥事や内閣が人事権を握るようになってから、アカラサマに官邸に媚を売る人が出世する悲しき実態を見て、嫌気がさして辞めている人も少なくない。
官僚の旨みと相対的影響力の減退、および年功序列の出世スピードの遅さと下積みの長さに嫌気がさして転職を志望する人。
事なかれ主義の“なぜあんな人事が まかり通るのか”といった義憤(官僚の友人に組織の問題点を聞くと、たいていこの納得できない人事が挙がる)に駆られる人。
またコンサルや外資金融に進んだ大学の同期と自身の報酬パッケージの比較、(そして多くの多国籍企業の時価総額が多くの国の国家予算を上回る昨今、)“民間の立場の方がやりたい事が出来る”といった気付き、国費留学の際にMBAで受けたグローバルの同期からのカルチャーショック諸々で、外資コンサル/外資金融を志す人が増えている。
端的に3ポイントを言えば、①官僚を志望する人の質、②入った後に転職したがる人の数、③残っても旨味がない割合の3点で、すべて悪化しているのだ。
官僚出身者で、コンサル・外銀転職後、活躍しない人の悲しい3大欠陥とは?~コミニュケーション能力欠如の膨大な具体例
財務省主計局で官僚としては優秀でも、コンサルやファンドで全く活躍しない人も少なくない。これはやはり、コミニュケーション能力に問題があるからだが、その要素を分解すると、
①そもそも官僚を目指す人は保守的で主体性が弱い人が多く、コミニュケーションが常に受け身、ないし
②その官僚カルチャーの中で文字通り官僚的になってしまったからか(失敗しないことばかり考え、小さなことをなんでも失敗しないよう確認してきて、何事も前に進まない)、
③今時あのヒエラルキーカルチャーに染まってしまい、かつ内心”民間より偉い”などというメンタリティに染まってしまった人(偉そうでチームワークと営業ができない)は、まず活躍できないのである。
実際私が知っている人も中央官庁の中でも花形の省庁から米トップスクールMBAに進み、鳴り物入りで某投資銀行に入ったが、その偉そうな態度が原因で社内でいじめにあって、間もなく退社を余儀なくされた人がいる。(お酒の席で、某メガバンクの偉いさんに”所詮民間人よばわり”みたいな態度を、酔っているとはいえとってしまい、それが命取りになったのだ。)
私のいた古巣の米系コンサルティングファームでも日銀出身者が二人いたが、片方はオタクタイプでチームメンバーや顧客とのコミニュケーションに大いに問題があり、片方は賢かったが社内政治に長けておらず、上司と衝突ばかりして数年で去ってしまった。
私の知る限り、某省庁からマッキンゼーに入りとんとん拍子でアソシエイトパートナーに30台前半で出世した人と、財務省だったがスタンフォード留学を契機にファンドに転じて大成功した某著名人を除き、苦戦している人が多いのが現実である。
これは、そもそもの適性の違いの問題、つまり官僚志向の人が(中にはいけている人もたまにいるが総じて)、がり勉オタク上がりみたいなタイプが多く、結局のところ一言で集約するとコミニュケーション能力にかなりのチャレンジがあり、結果的にそもそも、ビジネスに不向きな人が結構いる、というのも一因である。
どうせ出るなら、官僚カルチャーに染め上がってしまう前に転職を~しかし公共マインドが強すぎる人は向かない”民間転身”
他にも、拡大する経験の差と、カルチャーの差も挙げられる。同年代の大学時代の同期が20代前半や中盤で経験したコンサルや金融の基本的下積み作業を、30そこそこから開始しなければならないハンディが一つあるだろう。
また官僚カルチャーに染まってしまい、ビジネスセンスというか、お金の香りのする現実的な地に足のついたビジネスプランに弱い人も中にはいる。
また公共に資する仕事をしたい、と思って官庁に入ったものの絶望し、心機一転コンサルや投資銀行に移ったもののやはり公共の利益とは程遠かった、と幻滅する人もいるだろう。
実際このタイプの人で私が知る一人は、外資金融を経てNPOに移って行ってしまった。噂によるとNPOの腐敗に気付いてまたしても幻滅しているらしいが。。
理想が高すぎると、どこに行っても幻滅するので、それはそれで困りものである。今日日、どんな会社も”社会を変える、、”などと社会問題解決をうたうが、単にブランディングでやってることも多いので、真に受けてはいけないのだ。)
狭義の「頭の良さ」で人を判断するのを辞めよう~「どこの大学出身で、何位で省庁に入ったか」が関係なくなる世界
最後に、頭がよければ競争に勝てる、という業界でないことも肝に銘じておきたい。
当然両業種とも一定のいわゆる“頭のよさ(=記憶力、理解力、論理的思考能力、数的センス)”は必要であるが、その上に“人間商売”という側面が 色濃くあるのがこの業界だ。
コンサルタントはチームメンバー、上司のシニアコンサルタントやパートナー、また何よりもお客さん受けする人間でなければプロジェクトに繋がらない。
金融は同じくチームやお客に気に入られて何ぼの投資銀行部や株式営業部、プライベートエクイティのような世界もあれば、周囲に関係なく腕一本で稼ぐトレーダーのような仕事もあるが、この仕事はいかんせん頭で勝負というより勘や運、センス、そして”人を巻き込む力”が勝敗を分けるので、官僚時代の出世条件とは重視される要素が異なってくるのである。
MBA留学を契機に脱官僚を果たす人が多い
末筆ながら、官僚でキャリアをスタートした人の、外資コンサルや投資ファンド転身のきっかけは、なんといっても海外MBA留学が多い。
国のお金で海外トップMBAに留学させてもらったものの、そこであまりにエキサイティングなキャリアを歩んでいる様々な国の同級生に刺激を受けて、”こんなことやってる場合ではない”と問題意識を強めて、国に留学費用を返還して(しかも転職先がこれを出してくれたりする)脱官僚を図る人が多いのも事実である。
どうしても官僚生活をしていると会う人が官僚ばかりで、当初の志はどこえやら、組織を護り次官を目指すのが人生の目的化してしまいがちだ。
皆さんの一部の困った先輩のように(もちろん社会のために頑張る素晴らしい方が一部いらっしゃるのは存じ上げているが)、社会全体の利益ではなく省庁の権益と保身ばかり考えるカルチャーに染まりまくってしまう前に、より広い視野と選択肢を得るためにも、関心がおありならお早目の留学をお勧めする次第である。