外資コンサル・外資金融からスタートアップへの人材移動が増加
近年はアジアでのPE資金調達市場で、ベンチャーが初めてバイアウトを超えたことが象徴するよう、ベンチャーキャピタルへの資金流入が続いています。この流れはメルカリを始めとするユニコーン上場の成功を受け、さらに加速するでしょう。
このことは、スタートアップで働いたり、自分自身が起業する機会の増大を意味します。実際に最近の日経新聞でも、元外資系金融機関のプロフェッショナルがスタートアップに流れていることが記事化されていましたが、3大市場、つまり金融市場・労働市場・そして財市場(つまり顧客)において、スタートアップの存在感が増しています。
スタートアップへ投資するベンチャーキャピタリストの心得:起業家の使命感やコミットメントの強さを見抜こう
スタートアップ投資をするベンチャーキャピタリストとして、重要な投資見極めのポイントは何でしょうか?スタートアップはバイアウトや上場企業への投資と異なり、財務諸表や顧客がないことも多く、往々にしてその起業家およびチームの信頼性に相当程度、依拠します。
そんな中、成功するアントレプレナーに必要な要件は、まず”何が何でもその事業をやりたい、自分がやる意味がある、人生の原体験に根差したモティベーションが強い”といった”使命感の強さ”が挙げられます。
もちろん中には使命感も何もなく、儲かりそうなことやってたら儲かったという人もいるのでこれだけで決まるわけではありません。ただ起業は総じて困難な局面が多く、継続するには”お金になろうがなるまいが、何が何でもこれを人生掛けて成し遂げたい”と強く思っているかどうかが、重要な指標の一つなのです。
投資はボランティアではない:投資回収期間の時間軸はあっているか?
次に、ベンチャーキャピタルとして投資するからには、その起業家のビジョンやミッションの具現化の時間軸が、投資家の時間軸に合致している必要があります。
というのもベンチャーキャピタルは一般的に、10年以内に事業に投資し、支援し、売却を完了してリターンをファンドの投資家に分配しなければならないからです。
いくら人類の進化に役立つ素晴らしいイノベーションでも、投資家の目標リターンや回収時期のイメージと合っていなければ、そもそも資金を調達することができないのです。
大局観は抑えつつ、戦略や商品・サービスは柔軟に
最後に、「大局観と柔軟性」も求められます。大局観という意味では、たとえば”ネットはPCからモバイルにさらに移行する”や、”ブロックチェーンの応用領域があらゆる分野に広がる”といった、ほぼ間違いなく起る大きなトレンドに反していては、事業も話になりません。
かといって大局観を外さない人はたくさんいるわけで、そこで重要なのがビジネスモデルや商品、サービスといった”具現化の具体策”に関していえば、不確定要素の強いスタートアップ環境だけに、新たな状況に迅速に対応して変えていく柔軟性が求められるのです。
スタートアップ投資で損しないために重要なのは、”事業が失敗しても、このチームを買いたい投資家がいそうかどうか”の判断
この”新たな環境への対応力”と関連しますが、スタートアップ投資、ベンチャー投資で最も重要なのは、やはり”起業家の人柄・信頼性・能力を見抜けるかどうか”ということです。
何せ事業内容や事業環境、戦略やサービスは次々と変わっていくのが当たり前の世界です。そんなとき、いざ事業に失敗しても、”このチームを買いたいという投資家がつくかどうか”という”どの事業をやるかとは独立した次元での、創業チームの価値”が極めて重要になってくるのです。