PEファンド転職後のパフォーマンスレビュー基準説明~仕事がデキる人の特徴とは?
プライベートエクイティに第二新卒で転職すると、たいていアソシエイトスタートです。そこから3年後にディレクター、4年か8年後にパートナーに上がるには、各ファームのパフォーマンスレビューの基準に沿った行動指針を示す必要があります。
では、プライベートエクイティという仕事内容・業務内容の文脈で、PE案件を発掘し、PE投資を実践する中で「仕事ができる」と評価される人は、どのような特徴を有しているのでしょうか?
そのポイントを解説します。
1.有力パートナーに気に入られている
いきなり元も子もないのですが、なんだかんだ言って、これはマッキンゼーだろうとゴールドマンだろうと、あらゆるプロフェッショナルファームの実態と同じ暗黙のルールです。
PEファームでも、有力パートナーがパフォーマンスレビュー会議で推してくれるかどうかで、その進退が決まります。
普通のパフォーマンスでも、創業パートナーが内心貴方を嫌っていたらパートナー会議で解雇されますし、逆にディールソーシングやファンドレイズで活躍しているパートナーが推してくれたら、昇進します。
特に、そのファンドのパフォーマンスを決定づけるような巨額のリターンを産み出したポートフォリオの担当パートナーは社内で交渉力が強くなるので、仮に他のパートナーが内心反対していたところで、その有力パートナーが強く押せば、いまいちなディレクターでもパートナー会議で上に挙げられるのが実態です。
PEファームは大手ファンドでも投資チームはせいぜい20人~50人(例外的に人が多いアドバンテッジパートナーズ)、パートナーは2人~8人(例外的にパートナーが多い某独立系大手)と少ないため、誰か発言力強いパートナーが押せば上がるし、落とせば解雇されるしという俗人的な側面が強いのは否めません(一応360度評価はありますが、まとめる段階でそのトーンは、有力パートナーの意向で方向性が調整されます)。
2.各PEファームが提示するパフォーマンスレビュー基準に沿った行動が出来ている
さて、パートナーからの覚えめでたさで決まるとはいえ、その覚えめでたさが生じる理由の多くは、「ファームが重視する価値観・カルチャー・行動指針に沿った動きが出来ている」と見なされているからです。
そしてPEファームのカルチャーは、総じて創業パートナーが長らく務めた前職のファームのカルチャーの影響を色濃く受けます。
よって、ゴールドマンサックス出身者が多い会社ではゴールドマンサックスと同じようなパフォーマンスレビュー項目が並んでいますし、マッキンゼー出身者が多いところではマッキンゼーと同じようなレビュー項目、またベインアンドカンパニー出身者が多いところでは、ベインのパフォーマンスレビュー項目に影響を受けます。
当コラム冒頭の写真にありますよう、プライベートエクイティ転職対策テキストから一部を抜粋しますと、✔チームワークの生産性を高める✔他人の時間を無駄にしない✔全体感をきちんとコミニュケーションし、適切に仕事を割り振れている✔フラットでヒエラルキーを感じさせない✔誰が言ったかではなく、何を言ったかで評価する、などなど、プロフェッショナルファームで重視される項目が続きます。
3.数字の実績がある~ディールソーシング・ファンドレイズ・バリューアップとエグジット
会社のパフォーマンスレビューの評価基準と多少ずれていたとしても、なんだかんだいって優良案件をソーシングしたり、ファンドレイズで自分が新規LPから100億引っ張ってきたり、潰れかけのポートフォリオを何とか1.5倍でエグジットしたり、などの顕著な数字的インパクトをもたらした人は、もちろん高い評価を受けます。
しかしこのようなスーパースター選手は、「自分がファンドパフォーマンスの大半を担っているのに、なぜ役立たずの仕事していないロートルのパートナーがキャリーの大半をもっていくんだ?」と不満に思い始め、独立して自分のファンドを始めます。(実際このような事例を周囲で数多く目撃してきました)
4・社内で支持率が高い
これも、多くのコンサルや外資系金融機関同様のプライベートエクイティパフォーマンスレビューアルアルなのですが、たいして実績はないものの、熱心に全方位外交で毎週違う人とランチやディナーを入れて社内外交に勤しむ人の中で、それが上手い人は360度評価で得点を稼ぎがちです。
逆に下手な人がこれをやると、有力パートナーにばかりランチをお願いし、天丼や焼き鳥定食(その某PEファームのビルのレストランで人気のあるお店)をおごってもらいながら自己アピールする様が周囲に伝わり、周囲の反感を買うものです。
ともあれ、PEファームは360度評価で社員全員から(一緒に働いたことが無い人も含めて)レビューを貰うことが多く、社内では全方位外交を心がけるのが基本なのです。
5.PE業務の本質に関係ないブルシット業務ではなく、PE業務の本質をこなしている
PEの3大業務であるディールソーシング、バリューアップ、ファンドレイズで本質的に貢献できない人は、社内で自分を忙しく見せかけるために、謎の社内勉強会を立ち上げたりします。
しかし皆バカではないので、どんな仕事に意味があり、ないし優先順位が高いかは分かるものです。このようなノンコアな仕事をパートナーが始めると、顔を立てなければならないのでディレクター以下が付き合わなければならず、その下の忙しいアソシエイトにもしわ寄せが来ます。
そしてパフォーマンスレビューで酷評されて「謎の勉強会」は終わりを迎えるわけですが、PE社内で高く評価されるには、自分の時間の使い方を、会社にとって何が本質的に有難いことなのかを考えて優先順位をつける自己規律が必要です。
そして周囲は自分が思っている以上によく観察しているので、誠心誠意会社のために優先順位を考えて自分の時間をコア業務に割り振っている人は、パフォーマンスレビューでしっかりと敬意を受けることができるのです。
プライベートエクイティ社内でのパフォーマンスレビュー評価指標詳細は、PE転職対策テキスト第4章参照